WORKS DETAIL
下町からスタートアップの街へ。自治体によるパーセプションチェンジへの挑戦。
- CATEGORY
- デジタル体験, インバウンド / 観光プロモーション
受賞歴
-
FCC賞 混合部門|受賞作
DETAIL
BACKGROUND
スタートアップの街をめざす、”下町”墨田区。
江⼾時代からものづくりが盛んであったことを背景に、「産業のまち」として発展してきた墨⽥区。 中小企業を中心に、ピーク時は9703社の事業所が区内に密集していたが、 年々減少し、現在はピーク時の約20%の数に。そこで近年は、その対策として、 スタートアップ企業⽀援の取組に力を入れ、区内への誘致を促進していた。 課題は、この取組について、ターゲットであるスタートアップ志向の人々の認知が低いこと。 さらに、下町が持つ「古さ」の印象ゆえに、「新しさ」を求めるターゲットにとって、 スタートアップの街としてイメージされづらいこと。 メディア費の無い限られた予算で「認知」「イメージ」を獲得するためには、 メディアパブリシティや口コミによるリーチの広がりが必須。 そこで我々は、このキャンペーンのミッションを、「スタートアップの街としてのイメージを設計」するだけでなく、 「ターゲットがシェアしたくなり、メディアが取り上げたくなるコンテンツ表現を設計すること」と設定した。
WHAT WE INVENTED
「人情」のまち墨田区を、サブスクサービスに見立てたWEBサイト公開。
スタートアップ⽀援の内容から、街の文化の魅⼒まで、知ってもらいたいことは様々。 そこで、それらの特徴を「⼈情」の⼀⾔に集約し、再編集。 『誰もが夢を始められ、その夢を「⼈情」が⽀えてくれる街』として墨⽥区をポジショニングし、 競争激しい渋⾕区や港区など、スタートアップの地としてメジャーな街との差別化を⽬指した。 さらに「⼈情」という古く⾒られがちな概念を、現代的な表現でアップデート。 住⺠税を払うことは、サブスクリプションサービスに加⼊することに似ている、 という気づきから「⼈情サブスクリプションの街」というコンセプトを設定。 新しいサブスクサービスを紹介するかのようなパロディ表現で、 ⽀援内容や街の魅⼒を紹介するWEBサイト「サブス区」を制作した。 デザイン面では、伝統的な「家紋」を現代の「アイコン」にアップデートするなど、 伝統と革新が共存する墨田区の魅力を訴求。 その魅力をより直感的に感じられるツールとして「デジタル木版画ポスター」も制作。 町工場の現代技術であるレーザーカッターで制作した木版を、摺師の伝統技術で和紙に擦り上げた。
「人情サブス区係」を区役所内に設置。WEBの世界観を現実にも拡張。
WEBサイトローンチ後、第2弾施策として、区役所内に「人情サブス区」係を設置。 サブス区の「⼈情」を実際に体験できる場をつくった。 さらにこの場所が、メディアが取材したくなる「絵」になることも目指し、 飛沫防⽌ボードを加工した相談窓⼝や、対応する職員の⾐装・名刺、 装飾としての提灯や、配布用のリーフレットなど、様々なツールを制作。 WEBサイト内の独特な世界観を、区役所内の現実の場に拡張していった。
RESULT
TVをはじめメディア露出を多数獲得。スタートアップ企業の問い合わせ増加。
自治体が本気で取り組むユニークな施策として、キャンペーンはローンチ時から注目を集めた。 当初はWEBサイトの公開のみだったにも関わらず、 NHK「おはよう⽇本」での露出をはじめ、読売新聞やWEBニュースなど、多数のパブリシティを獲得。 さらに、第2弾でのリアル窓⼝開設によって直接取材も増え、再びTV/新聞/WEBニュースに取り上げられ、 合計で約1.1億円(広告換算値)のメディア露出量を獲得した。 それに伴い、WEBサイト経由の問合せをはじめ、スタートアップの相談件数が増加。 新たに支援を行なったスタートアップ企業も⽣まれた。