撮影:佐藤瑛

                          

プロデューサー/コミュニケーションデザイナーとして日々活躍されている佐藤瑛さん。人生の中で困難な局面や大きな選択をするときに自分を振り返り、前向きになれる本を紹介いただきました。 (取材:文=尾﨑光紗)

                          


               

-この本を選んだ理由は?                 

これまでの人生を通して、大きい選択をするときや悩みを抱えている時にふと読んでみようかなと思う本だったからです。
いつも読みたいというよりも、例えば大学・就活の進路をどうしようかと迷ったり失恋したときとかに手に取っています。
初めて読んでから10年くらいの間に自分は変化していて、
その時々で自分の気持ちも違えば置かれている状況も受け止め方も全然違うはずなんですけど、
いつ読んでもその時の悩みに対して何かヒントをくれる本です。

                         

-この本の好きなところは?

ビジネスマンが書いている哲学エッセイではあるんですが、文章が詩みたいでとっても綺麗なんですよ。
だいたい悩んでいるときってあれこれ考えてしまって活字を受け付けないんですけど、
頭をゼロにしてあんまり頑張らなくてもスッと入ってくる、シンプルな言葉で書いてあるところが魅力の一つです。
内容も、出版から50年たって時代や環境が変わった今でも、どの世代でも読める普遍的なものだと思います。

また、松下幸之助自体、昔はすごく貧しい生活をしていたこともあり庶民感も身近感もあって自分に置き換えやすい一方、
松下電器を一代で築き上げた大成功者でもあるので、ありがたいお言葉としてしっかり指南もされる。

結果自分ごととして気持ちに反映させやすいところも良いなと感じます。

 

-この本があなたの仕事や人生観に与えた影響は?

「自分につらいことがあっても周りの感謝を忘れずに」、など、全章を通して
謙虚・感謝の大切さといった松下幸之助のメッセージが随所に感じられて、読むたびにこういう自分でありたいなと思わされます。

 

-あなたにとってこの一冊は?

人生のコンパスのような一冊。

読んで、その時の自分の感情の動きやこれからの方向性を確かめたりと、ものさしのように使っています。
読む時々で受け止め方が違うので、同じ章を読んでも昔と今でちょっと感じるところが違うな、など、
自分がその時にどう思っていてこれからどうしていきたいかということを客観的に測れるような本ですかね。
明るく楽しく前向きに、というENJINの社訓も本のメッセージとして感じられるので、ENJINメンバーにも調和するのではないかなと思います。

writer:尾﨑光紗